羽田空港に降り立つと、少し蒸し暑いくらいの空気に取り巻かれた良太は、能登の解放感がもう懐かしく思えた。
あと少し撮影をしてから、器材を積んだ車で夜中向こうを出る撮影陣を残して、藤堂、佐々木、良太の三人は、一足先に東京に戻ってきた。
「お帰りなさい、早かったのね」
タクシーで青山プロダクションに着いたのは既に午後七時を回っていたが、残っていてくれた鈴木さんがにっこりと良太を出迎えた。
「ただいま帰りました。ありがとうございます。いろいろお願いしちゃって。岩牡蠣とかのどくろとかクール便で送りましたから、食べてくださいね」
「あらうれしい! 楽しみだわ!」
良太はカートをドア近くに置いて、自分のデスクに行った。
「留守中、何かありましたか?」
「特にはありませんよ。猫ちゃんたちもごはん一杯食べてたし」
「ハハ、いつもありがとうございます」
「どうだった? 能登は」
「もう、最高によかったです! 何か仕事でって申し訳ないくらい、夜はスタッフとかみんなで宴会状態で、食事も豪勢だったし、温泉も最高で! それに漁師メシ、美味かったなあ」
良太は勢い込んで言った。
「よかったわね、良太ちゃん、最近お疲れ気味で、なんかこう段々落ち込んでいくみたいな雰囲気だったから、たまには羽を伸ばさないと」
そんなに落ち込んでいるように見えたんだ、と良太はあらためてもっと引き締めないと思う。
鈴木さんが帰ると、良太は一端荷物を持って部屋に上がり、猫をちょっとかまってからカップ麺をすすると、またオフィスに戻って三時間ほどデスクワークに費やした。
「佐々木さんて、のんびりしてるし世の中のことに疎いみたいだけど、話しててなんか楽しい人だよな」
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