だから、滅多に人のことなんか気にしないニンピニンのくせに、本谷のこと車に乗せてたり………。
あの本谷の告白大会の時、声だけだったからどんなシチュエーションだったかはわからないけど、本谷の告白を、勘違いしているんだって、工藤は言ったけど、恋人がいるとも付き合っているやつがいるとも言わなかったし………。
よく考えなくても、工藤にとって俺はただの部下で………。
否も応もないよな。
不意に、小学校の時、良太が提出した夏休みの宿題にくれた先生の花丸が思い出された。
『よくがんばりました』
よくできました、ではなく、大抵そうだった。
良太ちゃんは頑張り屋さんだね。
野球も、仕事も、頑張ってきた。
それが俺のとりえで、結局俺って人間はその一言に尽きるってことだ。
本谷はきっと大化けするかもな。
工藤はそれをおそらく期待しているに違いない。
俺は何かを成し遂げることもない。
いや…………
俺はみんなに、期待されたかったわけじゃない。
ただ、工藤に、少しでも期待されたかったのだ。
今までは、ほんの少しでも、何か、そんなものがあった気がする。
でも、今は、もう、何もかけらすらない。
「おーい、良太ちゃん?」
目の前で宇都宮が手をひらひらさせている。
「どこかにトリップしてた? ただのコーヒーだよ」
「やだな、ちょっと考えちゃってただけですよ」
良太は苦し紛れの笑みを浮かべた。
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