また雨模様の予報らしく、空はどんよりとしていたが、早朝の道路はすいていて、車は静かに道路を走りぬける。
「何か、いいよねぇ、朝のドライブって。すいてるし、ちょっとぐるっと回ってみようか。まだ時間あるっしょ?」
宇都宮は笑みを浮かべて、首都高へハンドルを切った。
本当は一晩留守にしてしまって、猫のことが気になっていた良太はすぐにも帰りたかったところだが、せっかく宇都宮が機嫌よくドライブを楽しんでいるのに水をさすようで口にできなかった。
「午後から映画の撮影でしたっけ?」
「ああ、今月いっぱいね。来月の小樽ロケには良太ちゃん同行するの?」
「ええ、折を見てまた伺います」
「じゃあ、それまで良太ちゃんの顔見れないのか。残念」
また冗談ともつかない、意味深なセリフを宇都宮は口にする。
「ハハハ、俺の顔見たって面白くもなんともないですよ」
「あるよー。俺のモチベーションをぐんと上げてくれるしさ」
「こんな顔でお役にたてるんなら」
来週からはもう、『からくれないに』の京都ロケが始まる。
『大いなる旅人』も来月半ばくらいまでは京都での撮影となっている。
『からくれないに』はほぼ良太に丸投げ状態だから、良太も、こちらでの仕事の合間を縫って、顔を出さなくてはならない。
ちぇ、工藤さん京都にいるんだから、ドラマの方にも顔出せばいいだろ。
別に俺なんか行かなくたってさ。
また、本谷の様子気になって工藤が来たりとか、あんまり見たくないし。
何となく、ほんとになりそうで嫌だ。
「どうした? また何か考え込んでる?」
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
