「あ、いえ、猫たち、一晩ほっといたから、ちょっと」
「そっか、にゃんこちゃんたちには勝てないよな~」
湾岸を走っていた宇都宮は、そういうと乃木坂方面へと車を向けた。
「どうもありがとうございました。すっかりお世話になっちゃいまして」
会社の前で車を降りた良太は、ぺこりと頭を下げた。
「なんの、良太ちゃんならいつでも大歓迎。じゃ、シェアの件、考えといて」
宇都宮は車の中からそう言って笑った。
「あ、……はい」
シェアって、やっぱおいそれとは無理だろ。
良太は走り去る車を背に、警備員と挨拶を交わしながら足早にエレベータに向かった。
まだ八時を過ぎたところだから、ちょっと時間はある。
猫たちにご飯をやって、トイレを片して、シャワー浴びて、と。
そんなことを考えながら部屋のドアにカギを差し込んだ時、隣の部屋のドアが開いた。
「あっ、おはようござい……ます」
いきなり現れると思っていなかった工藤に、良太は一瞬固まった。
てか、帰ってたのかよ。
工藤はいつものように眉をひそめて良太を見下ろした。
「朝帰りか? プライベートに口を挟むつもりはないが、仕事に差しさわりのないようにな」
それだけ言うと、工藤はたったかエレベーターに消えた。
良太はしばし、立ちすくんだまま、工藤が消えるのを見つめていた。
「な……んだよ、それ!」
ようやく我に返ったように、良太がドアを開けなり、なーーーーーん、と二つの猫がとことこと駆け寄ってきた。
「ごめんよーーー、ほっぽっといて」
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