「お疲れ様です」
スタッフや俳優陣に声をかけると、「ちょっと、良太、こっち」と奥からアスカが手招きした。
傍を通る良太に、俳優からも声がかけられる。
「お疲れ様です」
はっとするほど晴れやかな笑顔を向けたのは本谷だった。
「あ、お疲れ様です」
一瞬、間があったが作り笑いでごまかして、そそくさとアスカの座っている椅子まで行った。
「何ですか? あれ、秋山さんは?」
「なんかさ、ホテルの部屋、隣が夜中まで超うるさいの、アジア系の観光客なんだけど、それで、部屋変えてもらってるの」
「それは、また、災難でしたね」
アスカにはちゃんとスイートを取ったはずだが、京都は世界各国から観光客が押し寄せる街だから、中には色んな人間がいるということだ。
「ねえ、またやせてない? 良太ちゃん」
隣に腕組をして立っているのはひとみだ。
後ろで須永が、こないだはどうも、とぺこりと頭を下げた。
「まさか、先週の今日で、そんなに変わりませんよ」
ひとみとは、宇都宮の部屋で鍋をつついて以来だが、下柳の言うように、良太をしんぱいしてくれているらしい。
確かに先週の今日ではあるが、ここ数日食欲も落ちているのは事実だ。
「あのさ、今日明日はこっちいるっていったよね?」
アスカの言葉がやけに挑戦的に聞こえるのは気のせいだろうか。
「ええ、まあ」
「じゃ、今夜、ちょっと付き合いなさいよ」
「え? ちょ、それは勘弁してくださいよ、夕べはヤギさんに付き合って、また今夜って」
さすがに良太は連日の上アスカと飲みなど、到底遠慮したかった。
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