え、昨日、来たんだ、工藤。
…………なーんだ…………。
だったら俺、わざわざ来なくてもよかったじゃんね。
そっか、やっぱ工藤、来たんだ。
本谷のこと気になって。
何だか思っていた以上に、ことは先へと進んでいくようだ。
高雄だって、俺、行く必要あり?
工藤いるのにさ。
何か、もう、行きたくねえ。
どんな顔して工藤に会えばいいんだよ、俺。
「………広瀬さん?」
「あ、いや、明日、俺、どうせ京都行くんならって、甲子園寄ってくることになっちゃったんですよね、『パワスポ』の取材で」
良太はさり気に話題をすり替えると、まだ鮨がいくつか残っていたが、もう入りそうにもなく、弁当の蓋を閉じた。
「そうなんですか、ホントに忙しいですね、お気をつけて」
にっこり笑う本谷は実に清々しい。
「ありがとうございます。撮影頑張ってください」
「はい」
やがてスタンバイの声がかかり、撮影が再開された。
良太はしばし撮影風景を見ていたが、静かにロケ現場を後にした。
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