月澄む空に12

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 スタッフだけでなく、俳優陣でもこのドラマシリーズに初参加しているメンツを少し調べる必要があると、良太は森村を呼んだ。
 隅の方に移動すると、良太は小宮山が気になっていることを告げた。
「わかりました。さり気に、気を付けます。とりあえず、今集めた情報だと、小宮山さん、奥さんと一人息子がいて、奥さんとは離婚調停中だそうです」
 森村はさらりと説明する。
「さすが、素早いな」
「原因は、ズバリ小宮山さんのギャンブルらしいです」
「ギャンブル?」
「依存症みたいで、詳しくはまだわからないですけど」
「わかった。ってかそれ、どこから情報?」
「うーん、メイクさん? 長田さんと川島さん? が話してるのチョコッと聞こえちゃって」
 長田冬美と川島萌恵は中堅どころの俳優で、この二人もあちこちの撮影に顔を出しているから、いろいろ耳に入ってくるのだろう。
 良太は推察した。
 すると、さっきひとみさんが言いかけたのも、そのあたりの情報かも。
「そうか。まあそんな調子でいいから、何か気になるようなことがあったら知らせて」
「Got it」
 森村はスタッフ陣の方へ行くとすっと気配を消したように見えた。
 なんか、モリーってやっぱただものじゃないわ。
 ってか、いろいろ訓練受けてるんだ。
 シールズのことを森村と出会ってから少し調べてみたが、ただの海兵というだけではない、過酷な訓練を経て特殊任務に着いたりするアメリカ海軍ではエリートだという。
 だけど、任務のことなんかペラペラ話せないだろうし、今付き合っているソフィとの電話のやり取りを良太はたまたま聞いてしまったことがあるが、ごく普通の若者の会話だった。
 海兵隊に志願したのは、養父である波多野に頼らず自分で大学に行くためだったと言っていたし、今はごく普通の生活がしたいのだろう。
「っと、そうだ、藤堂さんに聞いてみようと思ってたんだ」
 ブツブツと口にして、良太はスタジオの外に出た。
「おー、良太ちゃん! そろそろ良太ちゃんから何か言ってくるかなと思ってたとこだよ」
 相変わらず調子よさげなトークが携帯の向こうから聞こえてきた。
 社員四人の広告代理店ながら、元は英報堂エリート集団というプラグインのブレイン藤堂の頭には、何故かあらゆる情報が集まってくる。
 マーケターとしても非常に有能な藤堂は、一を聞くと十の情報を返してくれるありがたい存在だ。
「ちょっとどこかでお会いしたいんですが、ご都合は?」
 良太が切り出すと、「良太ちゃんならいつでもOKだよ。何なら夕方とかまた以前行ったカフェとかでどう?」と藤堂は言う。
「わかりました。ちょっと撮影抜けて行きますから五時でいいですか?」
「OK」
 藤堂と約束を取り付けた良太は、森村に、五時頃ちょっと抜けることを告げた。
「後はお任せください」
 森村は頼もし気に頷いた。
 


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