隣のドアが開く音がしたのは、猫のお世話をした良太がひと風呂浴びて、おもちゃで猫を遊ばせながらぼんやりと、小宮山さんがいないとはいえ、明日のロケ、何もないといいけど、などと考えていた時だった。
工藤、帰ってきたんだ。
さすがにお疲れだよな。
ニューヨークから帰って来てすぐに、斎藤さんの相手とか。
炬燵は今の季節、テーブルだけとなったが、その上に缶ビールを置いて、良太は絨毯に直に座りおもちゃを動かして猫たちを駆け回らせていた。
じゃかじゃかとワルキューレが奏でるのに、うっかり寝転がっていた良太ははたと目を覚ました。
「……お疲れ様です」
「寝ていたのか」
「寝落ちしてました」
するとややあって「来るか」という工藤の声に、「ああ、じゃ、ちょっと」と半分寝ぼけ眼で良太は立ち上がった。
バスローブの工藤は向い酒なのか、グラスを手にソファに座っていた。
サイドボードからもう一つグラスを取り出すと、工藤はラム酒を注いで良太に差し出した。
「どうも……」
良太は工藤の隣に腰を下ろし、グラスを口に持っていった。
「進展は?」
「ああ、はい、えっと、まず、谷川さんが北海道から戻ってきて、小宮山の件など話したら、今日明日オフなんですが動いてくれるって」
そして早速轢き逃げ犯らしき男を特定しそうだということと、藤堂から富田がグラビアアイドルの女の子とよからぬ相談をしていたらしいことなどを良太は話した。
「富田って人が、工藤って連呼して、ぎゃふんと言わせるとか何とか言ってたって」
「フン、あの男バカだと思っていたがほんとにバカだな」
工藤は富田のことを蔑むように言い放った。
「だが、小宮山がいなくても今度は何をやってくるかわからないからな。とにかく気をつけろよ」
「はい。明日のロケも、加藤さん、山倉さんが目を光らせてますし、それに白石さんが外周りを巡回してくれる予定です」
それから良太は工藤に向き直り、「西野さんが入って撮影がいい感じで進んでいますよ。天野さんも西野さんのがやりやすいって」と報告をする。
「西野がよく身体があいてたな」
「ちょうど合間だったみたいですよ」
「あの人なら間違いない」
そう言う工藤の顔がやけに近いなどと思っていた良太はそのままソファに押し倒された。
「うわ、何」
「今更、何ってなんだ」
「疲れてんだろ、ちょ……」
「疲れてるからだろうが」
ああ言えばこう言うで、工藤のキスがエロい。
こういう時の工藤はやたら執拗にエロオヤジ全開で挑んでくるから始末に負えない。
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