工藤の爆弾………か。
確かにそうかもしれない。
波多野の言葉を心の中で反芻しながら良太はエレベーターでフロントに降りた。
確かに、波多野の言うとおり、軽率だったかもしれない。
俺が何かバカをやったら、みんな工藤に返っていくんだ。
あああ、結局俺は口ばっかの能無しってことか。
「良太」
聞きなれた声に顔を上げる。
「行くぞ。いい加減、俺にドタキャンさせるのはやめろ」
「工藤……さん…」
何でここに工藤がいるんだ?
それに怒っている。
当然、怒っている。
逃げ出したくなるのを良太はぐっとこらえ、たったか歩く工藤の後を追いかけた。
工藤は車を会社の駐車場に滑り込ませると、良太を促してエレベーターで七階へ上がる。
二階で降りようとした良太をそのまま自分の部屋に連行した。
「入れ」
くるぞくるぞ、と雷が落ちるのを覚悟した良太にかけられた言葉は、案外静かに「まあ、座れ」だった。
「はあ、でも、あの、接待……じゃなかったんですか? 今夜」
「スケジュールをよく覚えていたじゃないか。え?」
コートをソファに放り、にやり、と笑う工藤の目がキラリと光ったような………
「だったらそのスケジュールを狂わすようなことばっかするんじゃないと、何度言ったらわかるんだ? バカヤロ!」
雷は一呼吸置いてやってきたようだ。
「はあ………ども、すみません………」
良太は神妙に頭を下げる。
「ったく、貴様というやつは………」
「だって、あんたは言ってくれないし……」
ぼそぼそと良太は言い返す。
「だから自分でやるしかないって……」
しばらく苦々しい表情で煙草を噛んでいた工藤は、ベッドルームに入っていく。
「まあいい、こいよ」
「え……」
良太は呆然とその声を聞いていた。
「来いって言うのがわからねぇのか?!」
工藤の怒鳴り声にびくっと肩を震わせ、良太はのろのろ立ち上がる。
既に上着もシャツも脱ぎ捨てた工藤は、「何してんだ、入れよ」と、ベッドルームの入り口に突っ立っている良太を促す。
「抱いてやらねぇから、ぐだぐだ言ってんだろ」
「何だよ、その言い草はっ! 俺はあんたのことが心配で……」
言いかけた良太の腕を引いてベッドに押しつける。
「わざわざ俺のあとをつけまわしたり、敵さんかも知れないやつにのこのこ会いに行ったりしてくれたわけだ? 俺のために?」
あ、千雪さん、チクったな!
「うっせー、わかったよ! もう知るか! 離せよ! 誰がこんなクソオヤジ……」
工藤の肩に腕を突っ張って、良太はヤケクソ気味に喚くが、乱暴に掴まれた良太の中心から火がついたかのように体が熱くなっていく。
「嫌だ…って…仕事……接待……どうすんだよっ!」
「ドタキャンさせたのはお前だ」
「だからって、あっ………!」
百戦錬磨のオヤジの手は良太を軽く追い上げ、良太から力を奪うと、くるりと良太の身体を裏返し、ズボンもパンツも簡単に取り払う。
「ちょ……待ってっ……うわ…」
冷たい液体が尻に落ち、良太は声を上げる。
「いきなりはやらねぇから安心しろ」
「安心って、あんたな……うっ……!」
差し込まれた指に絡まるローションの冷たさに身震いする。
「あ……クソ…いきなりじゃ……ねーって…ゆったっ……」
「うるさいやつだな」
「あっ……ああ………んんっ!」
さしずめ、蛇に睨まれたカエル。
工藤の手から逃げ出そうなんて、結局のところ思っちゃいないのだ。
なんて考える余裕もあらばこそ。
覚えのある甘いどろどろした感覚に頭の中まで侵食され、いつの間に合体したんだよ、というオヤジに存分に食われていた。
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