真夜中の恋人63

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 こいつの言うてるんが今限りの言葉やとしても、今はこの腕を離しとうない。
 やっぱり、いやや……
「千雪……」
「…やや、………俺を置いていくな……」
 京助は驚いた。
 千雪が珍しく本音を口にしたことに。
「……置いてきゃしねぇってっだろ?」
 柔らかな言葉が少しばかり甘さを含み、千雪の耳元に囁いた。
「お前の口からそんな言葉を聞くと、胸やらいろいろ、きちまう……」
 京助の指はゆっくりと千雪の顎のあたりをさする。
「アホ……人が真剣に……」
 胸の鼓動が次第に高くなる。
「俺が真剣じゃないわけねぇだろ? ……俺が好きなのはお前だけだ」
 さらりと口にする京助の、でも眼差しは熱くて、女なら、よほどの男嫌いでもなければ、すぐほだされてしまうに違いない。
 まともに見つめられて、千雪は思わず視線を逸らす。
 耳たぶまで熱くなっているのは自分でもわかっている。
 そうや! 女やのうてもや!
「ふ……何だよ、珍しく可愛い反応じゃねぇか……」
 京助はふわりと軽く千雪の唇をついばむ。
 千雪の首筋にあった京助の指がするりとバスローブをくぐり、そのまま腰の辺りまで降りていく。
「アホ! ちょ…、京助……て」
 第一、バスローブに包まれているだけで、こんなに身体を密着させているのだ、千雪が嫌だと言ったところで、はいそうですかと京助が許してくれるような状態ではないことは確かだ。
 もう一度千雪の唇をふさいだキスは、千雪の強張りごと力を奪うには充分過ぎて、息が止まりそうになってようやく離れたかと思うと再びついばみ直す、その間にはだけたバスローブの下の身体は、淫らにうごめく京助の指に操られるようにほぐされていく。
「……あっ…きょうっ……」
 追い上げられ、呼吸が乱れて言葉にならない。
 全身の感覚が必要以上に敏感になって、京助の指先や唇が少し触れただけでも千雪は小さく声を上げながら身を捩った。
 千雪の唇を塞ぎ、動きを封じ込めた京助は、甘くとけ始めた身体に押し入った。
「…あっ……」
 上ずった声が思わず漏れる。
 とっくに自分が自分ではなくなっている。
 京助に覚えさせられた凄まじい熱を勝手に身体が欲しがってしまう。
 背中に腕をまわしてしがみつく千雪を、京助はゆっくりと揺さぶった。
「あっあっ………」
 京助は千雪を喘がせながら、耳朶に低く囁いた。
「……可愛い……可愛い……千雪」
 ようやくその手に戻ってきた恋人を、京助はひどく愛しおしんだ。
 

 


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