Dangerrous Night3

back  next  top  Novels


 憤懣やるかたない良太だったが、表参道で記者を降ろすと、広尾の小笠原のマンションに車を走らせる。
「随分長い打ち合わせだったな」
「ああ、打ち合わせね。彼女、できる人だから、ぱぱっと済ませて、ちょっとね」
 鼻歌なんか歌っている小笠原は、にやにやと答える。
「ちょっと、何だよ?」
「大丈夫、今度は暴れたりしてねーから。いや、ルームサービスでシャンパン頼んだんだ。彼女が好きだって言うから」
 小笠原はシートの間から首を出して、続ける。
「確かに美味くってさ。そしたら、そのうちいい気分になっちゃって。つい、さ」
「つい、何だよ」
 答えはわかっているが、本人の口から聞くまでは、無罪、にしてやりたい。
「だからさ、真夜中で、美味い酒があって、あーんなお色気美女と二人っきりだぜ? そういう気分にならないほうがおかしーってもん」
 やはり有罪だった。
 良太はハンドルを握り締めて、怒りを何とか静めようとする。
「ねえ、って誘ったら、彼女も乗ってきて、もうあとは盛り上がったの何のって。いい女だったなー」
 まだ夢の中のようなことをぬかす小笠原に、「バカヤロー!」と怒鳴る。
「お前、いくらなんでも、やっていいことと悪いことがあるだろう!」
「あ、俺だけいい目みたから、悔しいんだろ? でも彼女、良太のことも可愛いわね、って言ってたから、誘ったらOKかもよ?」
 小笠原はあくまでも能天気だ。
「あのな、いくらいい女だからって、第一、お前仕事中だろう? 仕事中にそんな………」
 言いかけた良太は、そこではたと口篭もる。
 仕事中にふざけた輩は、もう一人いたぜ。
 何を隠そうそれは青山プロダクションの社長のことだ。
 実は先だっては小笠原をほっぽって軽井沢だった。
 社長も社長だからなー。
 それに自分も加担したわけで。
 思わず顔が赤くなったのをごまかすようにハンドルを切ると、やがて小笠原のマンションの前に着いた。
「んじゃ、ご苦労さん」
 なーにがご苦労さんだよ、ふざけやがって。
「良太ってさ」
 車を降りかけた小笠原が、また座りなおす。
「何だよ」
「恋人なんかいないよな?」
「いきなり何言い出すんだよ! お前こそ、ふらふら遊んでないで、彼女決めたらどうだよ! 別に世間に公表する必要はないんだし」
「いや、タレントやってるとさ、誰かとお知り合いになるってゆったって、そうそう会ってる時間もないし、なかなか彼女ってもな~。遊びはできてもそううまくは行かないもんなのよ」
「まあな」
 確かに小笠原のように売れっ子になると、撮影の掛け持ちで一日が終わったり、それ以外にも雑誌の取材やテレビラジオの出演なんかも入れると、とても彼女を作っているひまなぞないだろう。
 それはそれで、気の毒にもなるが。
「だからって、仕事を隠れ蓑に遊びまくっていいってもんじゃないだろう? それに、もしそんなことがマスコミにかぎつけられたら、イメージダウンもあり得るし」
「そん時は、そん時。今遊ばないで、いつ遊ぶんだよ」
 良太が小笠原としばらく一緒にいてわかったのは、楽天的、プラス思考のかたまりのような男だということ。
 どんなマイナス要因もそれをバネに、プラスに飛躍させてしまう、ある意味スターの素養は十分というべきか。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます