「親子は完全に縁が切れるものではないらしいが、状況的には財産放棄していて、もう一切沢村とは関わるつもりはないので、これ以上俺に対する迷惑行為をやめないってんなら、こいつを見せて警察に通報してやるって言ってください。っていうか、あいつらが犯罪を犯しているというなら、逮捕されたって当然、通報するべきじゃないんですか? 俺の方は一向に構いません」
小田はするとしばしじっと沢村を見つめた。
「もし犯罪が行われているという事実があればですが、先ほども申し上げたようにこの画像は証拠能力がありませんし、立件するとなればそう簡単なことではありません。一応画像は見せて忠告だけはしましょう。まああなたもそう先走らず、とりあえず、私はあなたと青山プロダクションの代理として、真岡弁護士にアポを取ります」
小田が帰ると、沢村はふう、と大きくため息をついてしばらくソファに座ったまま腕組みをしていた。
「沢村、何がどうしたって?」
ややあって良太が声をかけた。
「贈収賄だとさ、優良企業が聞いてあきれる」
沢村は良太に、画像のことをぶっちゃけた。
「もう、関わらないんだろ? ほっとけよ」
「犯罪者を見て見ぬふりしろって?」
「深みにはまる前にやめろって忠告してやればいんじゃね?」
「俺にはそんな義理はない」
良太は小田の座っていた沢村の向かいに座った。
「小田さんが忠告して沢村父と兄が素行を改めればそれでよし、もし、贈収賄が表沙汰になったりして、荒木検事とかに追及されたりしたら、三輪田議員も終わり、朝日産業もダメージ被ること必至だぞ」
「荒木検事って誰だよ?」
「東京地検の凄腕。小田さんとか工藤の同期で、ひょっとして齋藤元大臣の一件もそうかもな」
「へえ、工藤の同期?」
「工藤は出自が出自だから、芸能プロの社長とかやってるけど、昔、現役で司法試験三人そろって合格したって」
「ひょっとしてああ見えて小田弁護士って結構辣腕とか?」
沢村は茶化し気味に言った。
「ああ見えて、かなり辣腕。代議士告発事件て初めてじゃないし。荒木検事とタッグ組んで悪徳って評判だった桜木代議士追い詰めたこともあったって」
「弁護士と検事がタッグかよ」
「小田さん、告発した側の代理人。代議士を追い詰める証拠を提供したのが桜木代議士の娘で、荒木、小田、工藤の同期で工藤の亡くなった恋人だったって話」
「ふーん、なかなかな話だな」
沢村が父親を通報などと言った時の小田の目を、沢村はふと思い出した。
「何かさ、それって俺らくらいの年だったって、そう考えると俺、何やってんのかなって、時々思うわ」
良太まで溜息をつく。
「お前はお前だろうが」
沢村は立ち上がって続けた。
「そうだな、俺は俺だ。今はオヤジがどうとかどうでもいい」
少し吹っ切れたようにそう自分に言い聞かせるように言うと、沢村はオフィスを後にした。
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